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訃報
 あまりにも突然に、兄が死んでしまいました。きょうだいは兄しかいないので、途轍もなく大きな喪失感でいっぱいです。死因は動脈乖離でした。医者らしいですよね、背中に激痛を感じて倒れると同時に「この痛みは動脈乖離だ、救急車を呼んでくれ」と言って、そのまま意識を失ったと、一緒に暮らしていた内縁の妻さんが教えてくれました。

 その瞬間、ひとりじゃなくて良かった。兄は、最後の8年だけは、内縁の人と幸せに過ごしていたんです。

 でも、一方では、離婚調停も不成立に終わり、お財布を握っていた正妻が、収入のほとんどを無断で取ってしまい、税金も支払えない窮地に陥ってしまいました。つい最近のことです。父に借金をして凌いだものの、兄は親にお金を借りるような人間じゃないんです。甘えたことなど一切なかった人間だったから、相当な心労だったんです。だから、わたしは、兄嫁に兄は殺されたと思っています。

 兄嫁は、本当に恐ろしい女性です。お金の亡者です。兄は別居していても、ちゃんと子供の養育費や生活費を払っていました。その額が半端じゃなくて、年単位で計算してみたら1160万円にもなります。その上、子供の大学などの学費は別途払っていました。また、正妻と子供の暮らすマンションのローンや、正妻の車のローンも払っていました。

 でも、正妻はそれでも足りなくて、子供の塾代や、買い物などに使った20万とか、50万とか、100万とか、ちょこちょこ通帳から下ろしていて、さらに極めつけは、ここ3年の間の2000万円を引き出していることが判明しました。税理士さんが収支決算から見て、正妻が黙って引き出したお金の総額は億単位になるだろうとのことです。

 だから、兄自身は、いつもお金がない状態だったこともわかりました。内縁の妻が援助していたから、何とか生活してきました。そういうことを、わたしや両親には一言も言わない兄だったから、亡くなってから内縁さんに聞いて判明しました。

 正妻にしてみれば、兄が勝手に女性を作って、自分を捨てたという恨みがあったんだと思うけど、そうなる前から、兄が仕事から帰っても「お帰り」ひとつ言わず、兄も子供の教育上「お帰り」とか「いってらっしゃい」は言うように諭してもダメだったんです。

 それに、正妻は、兄より先に朝起きたことが無かったんですよ。兄が学会で遠出するときなど、正妻を起こさないように暗い部屋で靴下を履くから、チグハグな靴下を履いていたり、話は全然ちがうけど正妻は掃除は大好きでも料理ができなくて、料理学校にも行かせても、兄は自分の好きなものが食べられなくて、外食ばかりしていたんです。驚いたことに、子供にお刺身を出していた時があって、兄が帰宅後に「自分のは?」と聞くと「ない」と言ったそうで、兄にしてみればショックだったんです。

 そういう小さいことが積み重なった結果だったんですよね、別の女性に安らぎを求めたのは。まだまだ正妻への不満は一杯あるんです。うちの両親を新居に招いたことがなく、うちに遊びに来ても、飲み食いを全部両親がお金を出して、ありがとうの一言もなく、お嫁さんらしい気遣いをしたこともありません。わたしは正妻が昔から嫌だったけど、兄の嫁さんだから気を使ってきたんです。

 それから、正妻の母親が兄の家に入り浸っていたんです。人の悪口ばかり言って、正妻である娘と楽しんでいるような姿が、兄には耐え難かったし、子供の教育や、リフォームなどに口を出し、兄の言い分は通らず、兄はお金だけを出す存在となり、兄には居場所がなかったんです。そういうことが、兄が死んでから、内縁さんから聞いて把握できました。

 わたしも生前の兄には、正妻のどこが嫌なのか、それを言わなきゃ兄が悪者になって離婚なんてできないから、ずいぶん突っ込んで聞いてみたんですが、今思えばほんの触りしか教えてくれませんでした。人の悪口が言えない兄だったんです。と言うか、正妻を選んだのは自分だから、自分ばかりを攻めていたんだと思う。だから、ここまで酷かったとは、わたしもショックを受けました。

 兄が可哀想でたまりません。兄が眠る病院の霊安室で、正妻も駆けつけたから「兄が死んだのはあなたのせいだ」と言ってやりました。兄は内縁の妻にそばにいて欲しかったに決まっていますが、正妻が「帰れ」と言って寄せ付けませんでした。だから、わたしも、正妻の母親には二度と会いたくないと言っていた兄を代弁して、正妻の母親を兄に絶対に対面させませんでした。お葬式では、内縁の妻を、正妻の席に堂々と座らせました。

 当然ですよね、正妻は憤慨して途中で帰ってしまいました。わたしはその時点で正妻が怒って何かやりそうな予感はしていましたが、今とんでもないことが起こっています。父が正妻にこちらに来るよう言ったので、そのときに問題の処理をする予定ですが、縁を切りたいのです。

 とんでもないこととは別に、兄を慕って患者さんたちが順調に増えたクリニックも、正妻が勝手に別の医師を雇って続けようで、こちらとしては、兄の死と共に閉業するよう要請したんですが、正妻は収入源を得たいんでしょうね。どんどん兄の宝物だったクリニックを勝手にいじっていますよ。もう好きなようにしろという気分です。縁さえ切れればいいです。

 わたし、兄は正妻に殺されたと思っているから、裁判で戦いたかったんですが、正妻の権利は本当に強くて、負ける裁判だから請け負う弁護士っていませんでした。負けてもいいから、兄の思いを弁護して欲しかったです。わたしはある事情があって疎遠になっていたけど、兄が小さい頃から大好きだったから、無念を晴らしたかった。正妻の生き方は間違っている。

 そんな正妻と縁した兄も、過去には間違っていたのかもしれません。でも、内縁さんと出会って、彼女は兄の初恋の人だったんですが、兄自身が心から幸せになって、本当にこの1年というもの、わたしとの絆も深まってきたんです。亡くなる前日にも、わたしのところに遊びにきてくれました。だから、短い間でも兄が幸せになって本当に良かったなって思う反面、あまりにも若すぎる死が可哀想でなりません。
 
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